キドロ。

妄想の産物です。






*****************

目が覚めると手足がひんやりと冷えてしまっていた。

クーラーを低目に設定して、寒いくらいの部屋で眠るのはいい。
が、朝のこの冷えっぷりは不快だ。

外へ行けば暑いのは知ってる。
でも不快過ぎる湿気と戦う気は、今のローには無い。

ローは自分のベッドを抜けると隣りの部屋の扉を開けた。
この寮の扉には鍵はない。
ただ眠る時、一人になりたい時などは部屋の扉にプレートを下げる。
これがある時は他の生徒は扉を開けないのがルールだ。

もちろんユースタス屋の部屋の扉にもプレートが掛かっている。
早朝のこんな時間にユースタス屋が起きているはずかない。

…が、ローは構わず扉を開けて中へ。
例えプレートが掛かっているのにローが入っても、ユースタス屋は怒らない事をローは知っている。

ユースタス屋の部屋はローの部屋よりエアコンの設定温度が低く、ローは微かに身震いした。

ローの部屋と同じ間取りのその部屋は、ローの部屋より幾分狭く感じる。
恐らく物が散乱しているせいだろう。
見掛けによらず部活に熱心なユースタス屋らしく傍らにはボールケースも転がっていた。
これがここにある時は部活は休み。
ローは目の縁で確認すると、彼の敵の水色の四角い物体を眠らせ、
ベッドで眠るユースタス屋の傍らへ潜り込んだ。

想像していた通りの温もりにローの瞼は数分たたずに降りて来る。


おやすみ。


言葉は大気を振るわせる事なくシーツに落ちた。




(トラファルガー!!てめぇまた目覚まし止めやがったな!!)
(んー…ゆーすたすや、おはよー)